創新2020
2010年3月に国務院でイノベーション推進に関わる会議が開催され、これまでの知識創新プログラムの進捗と成果を評価すると共に、イノベーション推進をより強化するため2020年までのプログラムである「創新2020」の実施を決定した。この創新2020は、国家発展の基礎を築き、産業振興のために先端科学技術を開発し、国民の健康を増進し、国民の安全や環境保護を強化し、国際競争力を強めることを目的とするものである。目標として一流の成果、一流の効率、一流の管理、一流の人材を追及し、10年間にわたる活動により科学技術イノベーション能力を強化するものである。
三个面向と四个率先
中国科学院の現在の基本方針を示す言葉が、「三个面向」、「四个率先」である。
「三个面向」とは中国科学院が目指すべき三つの方向性であり、世界の最前線の科学技術を目指す(面向世界科技前沿)、国家の重要な要求に応えることを目指す(国家重大需求)、中国国民経済の発展に寄与することを目指す(国民経済主戦場)ことを意味している。
2013年7月、共産党総書記の習近平は中国科学院を視察し、中国科学院のこれまで60数年の業績を高く評価し、今後もさらに党、国家、人民のために絶えず革新するように励ました。そして「創新2020」をベースとして、中国科学院が「四个率先」を実施するよう指示した。「四个率先」とは、科学技術の抜本的な発展の実現(実現科学技術跨越発展)、イノベーション人材の国家的集積地の建設(建成国家創新人才高地)、ハイレベルの科学技術の国家的なシンクタンクの建設(建成国家高水平科技智庫)、国際的に一流の科学技術研究機関の建設(建設国際一流科研機構)を意味しており、これらを他の科学研究機関に先駆けて実施するというものである。
率先行動計画
この指示を受け中国科学院は、翌2014年に「率先行動計画」を策定し、具体的な内容として次の5つの分野で25項目にわたる改革案を提示した。5つの分野とは、次のとおりである。
○研究所の分類改革:中国科学院の傘下にあるおよそ百か所の研究所を、現在の科学技術研究開発に適合するよう分類し、必要に応じて再編する。
○研究開発の重点化:国の科学技術戦略に沿うとともに、世界の最先端分野で貢献しうるように中国科学院の持つ研究開発力を重点化する。
○人事制度の改革:中国科学院の人材に関わる人事制度を改革し、イノベーション人材を強化する。
○シンクタンク建設:中国科学院における改革の強化や研究開発成果の増強を目指し、高レベルの国家的なシンクタンクを創設する。
○中国科学院の開放:中国科学院のポテンシャルを最大限に活かすため、院の研究資源の共有を拡大強化し、国家や人民のためのサービス供給能力を高める。